私たちは、大阪の地下鉄は街を碁盤の目のように走っていてとても便利だから、年をとっても今と同じように、地下鉄を利用してどこにでも出かけられると思っていました。ところが、高齢のメンバーの「地下鉄は階段が多くてしんどいから、少し待ってもバスを利用している」とのことば。これは大変!私たちは、大阪市営地下鉄(当時)の111駅すべてを調査し、大阪交通局に提案書を出しました。

<調査内容>

ひと駅約2時間、111全駅(ニュートラムを除く)を延べ474人で2年間かけ、利用者の立場にたった調査を実施。高齢者が車イスを使って地下鉄を利用することを想定して行いました。
調査項目:駅の地上出入口・階段・周辺ビルからのエレベータ・点字ブロック・料金表・券売機・改札・改札周辺からホームまで・ホームの設備及び形式・ホームと電車の段差・安全柵・エレベータ、エスカレーターの設置場所・トイレ・公衆電話・駅員さんから利用者への要望の聞き取り
※調査表作成に四苦八苦 たくさんの方からアドバイスをいただきました
※ある日、車いすの介助者から「新聞で見ました。がんばってください」と声をかけられ、元気百倍!

<大阪市交通局へ中間報告提出>

全駅の調査を終えるまでに、情報が古くなると考え、46駅の調査が終わった時点で、「地下鉄検証結果報告及び改善要請」を提出しました。交通局からの回答、話し合いを受け、再要望書を提出。回答を得ました。

<調査項目追加>

追加項目:地下鉄通路の防犯ベル・通路壁面の活用方法・大変便利だと感じた券売機から少し離れたところにある目の高さの料金表・防犯ブザーの貸し出しの掲示・音声案内付き触地図・エスカレーターのインターホン
※次第に駅員さんとの信頼関係が生まれ、いろいろな話を聞けるようになりました。

<提案書作成>

最終提案をよくわかる効果的なものにするためにはどのように分類すればいいのか途方にくれていた私たちに救いの手が!まちづくりの専門家のサポートを受けられることになりました。すぐに実現が可能なものと、時間や予算がいるものを縦軸に、ソフトとハードを横軸におき、KJ法を使って提案内容を項目分けしました。その結果、13項目に分けることができ、提案書「ひとにやさしい駅へ―市民グループからの提案―」にまとめました。

<調査を終えて>

この大阪市営地下鉄調査は、私たちにとって初めての活動で、地道な調査をしながらも、こんな市民の意見を果たして受け止めてもらえるのだろうかという不安がありました。しかし、交通局に最終提案を出した後、各部署で提案項目を検討するために振り分け作業をされている過程で、何度か内容についての問い合わせの電話がかかってきました。それは、提案をきちっと受け止めてもらっていると感じられる内容のもので、私たちは活動を積み重ねることの大切さをしみじみ感じました。