2015年の認知症による行方不明者数が1万2000人に上ったと警察庁の発表がありました(2016年6月)。これで3年連続1万人を超えたことになります。
この対策として、数多くの自治体が地域の住民や事業者の協力により、できるだけ早く発見・保護するシステム「SOSネットワーク」を取り入れていますが、十分に機能しているといえるところは少ないのが現状です。
そこで、「SOSネットワーク」について知りたいと思った時、各自治体のホームページでその情報が得られるか、そしてその説明がわかりやすいかどうかについてアンケート調査をしました。

<調査の目的>
  • “SOSネットワーク”が各自治体のホームページにどのように記述されているかを調査し、改善に結び付けてもらうこと。
  • 認知症による行方不明者の増加や事故の対策“SOSネットワーク”を、少しでも多くの人に知ってもらうことで、登録者や協力者を増やし、さらに有効なシステムにすること。
<調査の方法>
  • 不特定の方にメーリングリストやフェイスブックでアンケートを呼びかけた。
  • 実施期間:2016年9月1日~2016年10月10日
  • 回答方法:実際に“SOSネットワーク”を利用すると想定して各自治体のホームページを1つずつ見た上で、5段階評価と自由記述の形で答えてもらった。
  • 調査対象:大阪府と兵庫県(計約130自治体)から、さまざまな記述スタイルの10自治体を抽出
    大阪市都島区 堺市 富田林市 泉南市 熊取町 神戸市西区 豊岡市 猪名川町 太子町 上郡町
<調査結果>
  • 回答者人数:59名
  • 回答者の年代内訳:50歳代70.2%と60歳代14.0% 合計84.2%となり、介護が身近と思われる年代の割合が回答者のほとんどを占めた。
  • 介護経験の内訳:介護中16.4%、近い将来介護をする可能性のある人30.9%、介護の現場で働いている人18.2% 合計65.5%で、何らかの形で介護に関わっている人の割合が高くなった。
  • “SOSネットワーク”を内容まで知っている人が26.3%である一方、このシステムについてどのような方法で調べるかの問いに対して76.8%の人が自治体のホームページと答え、このシステムの普及にはホームページの重要性が高いと判断される。
  • 自治体によって、評価に大きな差があった。5段階評価結果と自由記述(総コメント数437件)から導き出した改善ポイント「第一印象が大切」「順を追って、平易な言葉で書く」「概要説明と、PDFや電話への誘導が必要」を具体的根拠とともに示した。
<提案作成>

調査対象である大阪府、兵庫県の自治体には、担当者名を教えてもらった上で、発送実施。

<調査を終えて>

アンケートの量が多くて大変だったとのお声もありましたが、59名もの方からご回答いただきました。この度、いただいた大切なご意見を集計し、分析・考察を進め、報告書が完成しました!